- なんとなく超短編お話 連載第1回
- 2008年3月21日(金)10:28am
~リフレクティア(仮)~
キリキリと音をたてゼンマイを巻きあげる
繰り返し繰り返し巻きあげられたゼンマイのバネは随分とくたびれている
それでももう少し…あと少し…
これ以上なく伸びきったバネがギギギと音をたてた
どうやら今日もバネは切れなかった様だ
安堵とも溜め息ともつかない息を吐き僕は顔を上げた
そしてそこで初めて気がついた
“どちらが前でどちらが後ろだろう?”
あの光が射す方が前で真っ暗な方が後ろだろうか?
うっすら音楽や人の話声が聞こえる方が前で風の音すらしない静寂の方が後ろだろうか?
そもそも僕は何処へ向かうつもりだったのか?
…忘れてしまった…
ふと周りを見渡すと僕とよく似たゼンマイ人形が列をなしてヨタヨタと歩いてゆく
あっちが正解か…行くべき場所か…
鼻面をそちらに向け一歩目を踏み出そうとして思い止まる
目指す場所も理由も忘れてしまった
くたびれた僕のゼンマイのバネは後何回もつのかもわからない
だったら“行くべき場所”じゃなく“行きたい場所”へ行こう
僕は回れ右をして真っ暗な静寂を目指す事にした
真っ暗で静寂という事はまだ誰も知らない世界があるかもしれない
とりあえずゼンマイが止まるまで進んでみよう
それから先は止まってからまた考えればいいさ
それにそこは僕の出発点かもしれない
ちょっと見たくなった
ちょっと楽しくなってきた
今日はいい日だ























